奈良県
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奈良県(ならけん、英語表記:Nara Prefecture)は、日本の都道府県の一つで、本州の中西部に位置する県。近畿地方の一角。令制国の大和国の領域を占める。県庁所在地は奈良市。北部は大阪のベッドタウンとしての顔を持つ一方、南部は峻険な山がそびえている。
現在、2010年の平城遷都1300年記念事業に向け、県内外でその準備に取り組んでいる。 また、やまと21世紀ビジョンを作成し「世界に光る奈良県づくり」「関西のオアシス」を目指している。古代より多くの都城が置かれ、「日本の故郷」とされる。
目次 |
地理
概要
紀伊半島中央の内陸に位置し、北西部に奈良盆地、北東部に大和高原、それ以外は大台ケ原や近畿地方最高峰の八剣山(八経ヶ岳)といった山地が広がる。
県内の地区を北和、中和、西和、宇陀、南和などと区分されることもあるが、それぞれの境界線は曖昧であり、近年は単に北部、南部と表記されることも多い。
気候
日本の中でも温暖な地域に属し、奈良盆地(奈良市・橿原市などの地域)では降雪の観測日数は多くない。一方、五條地域・吉野地域・宇陀地域などは降雪・積雪に見舞われることがあり、天川村・上北山村にはスキー場も存在する。これらの地域では積雪が交通に影響を与えており、奈良県の道路政策には「雪害対策」の文言が含まれている。
気象は一般的に内陸性気候に属する北部(基準地は奈良市)と太平洋側気候に属する南部(基準地は吉野郡十津川村風屋)に大別される。天気予報では北部と南部に分けて発表される。
さらに北部を北西部(基準地は奈良市で狭義の奈良盆地の地域)、北東部(基準地は宇陀市で、おもに宇陀地域)、五條・北部吉野(基準地は五條市で、旧大塔村の地域を除く五條市域と、吉野郡3町)と3分割している。
南部は南東部(基準地は吉野郡上北山で、宇陀郡のうち、御杖・曽爾地域と吉野郡の大峯山系東側の地域)と南西部(基準地は十津川村風屋、五條市のうち旧大塔村の地域・十津川村・野迫川村)と2分割している。
北西部を除いては典型的な山岳気象であるが、(北西部も含めて)同じ二次細分地域にありながら、A地点とB地点で大きく気象が異なる傾向が見られ、二次細分が5分割では不十分とする意見もある。[要出典]
奈良の夏の暑さは日本有数と言われている。典型的な盆地気候で夏場はかなり蒸し暑い。2005年7、8月における最高気温では十津川村風屋の37.3℃、上北山の37.0℃、五條の36.7℃、奈良の36.2℃となる。また最高気温25℃以上の夏日は奈良と五條がほぼ全日の60日間で両トップである。
冬の寒さはどの地域でも厳しい。特に北部山岳部の冷え込みは3月頃まで続くことが多く、年間を通じての最低気温の記録が3月では宇陀市大宇陀区で-6.2℃、奈良市針が-6.1℃となっており、これらの宇陀地域は遅霜などの影響を受けやすい。このほか前述の通り積雪による影響を受ける地域もあり、奈良県の気象と一概に言えないのが現状である。
奈良盆地
奈良盆地は奈良県の中央から北西側に位置する。大阪との距離が近いこともあり、住宅開発が進んだ結果、大阪市や京都市のベッドタウンとして、多くの住民が大阪市や京都市へ通勤・通学している(奈良府民)。また、盆地外周の丘陵地(京阪奈丘陵・赤膚丘陵・矢田丘陵・馬見丘陵)ではニュータウンも開発された。
大和高原
大和高原は、奈良県東部に位置する。宇陀市では、榛原を中心にベッドタウン化が見られ、国道25号線沿いの奈良市都祁地区や山添村では、工業団地が見られる。基本的に、奈良盆地と比べても自然が多く、奈良市月ヶ瀬地区の梅林や、曽爾村のススキ畑などのどかな風景が広がっている。
吉野山地
吉野地区は、奈良県南部に位置する森林地帯である。範囲は吉野郡と同じ、もしくは五條市を加えたものである。吉野地区で特に知られるのは、吉野町の千本桜で、春には多くの観光客が訪れる。また、世界遺産の熊野古道もあり、霊験あらたかな山地としても知られる。大淀町など郡北部の一部の地域では、近鉄吉野線沿線であることや比較的可住地が多いことから、北部と同様に大阪市や京都市のベッドタウンとしてニュータウンが開発されている。その一方、上北山村や野迫川村などほとんどの地域では険峻な山地であり、可住地がほとんど無く、人口は多くの村で1,000人前後と少ない。県の可住地の少なさの一つの要因でもある。十津川村などの山間の村落が多く、年間を通して雨が多い、日本でも有数の多雨地帯である。
産業
- 現在では観光産業が賑わいを見せ、各地の寺社仏閣や遺跡、万葉の故地などが観光客を集めている。東大寺二月堂修二会(お水取り)や春日若宮御祭りなどの伝統行事や若草山の山焼き、また正倉院展・なら燈花会などの新しいイベントなどが多くの観光客に親しまれている。奈良県への年間観光客数は約4000万人。
- イチゴ、スイカ、柿、茶葉の有数の産地でもある。
特にイチゴは“あすかルビー”という有名品種がある。
- 和書・書道に欠かせない墨や筆(奈良市)、茶道に欠かせない茶筅(生駒市高山)、等の産地。
- 金魚では大和郡山市が国内の代表的な名産地として知られている。近年では金魚すくい大会が賑わいを見せ全国から参加者が集まっている。出荷匹数は日本一である。
- 素麺(桜井市)の四大産地である。また、手延べ素麺(三輪素麺)の三大産地の一つでもある。
- 吉野地域の山間部において、林業が県南部の基幹産業となっている。吉野杉のブランドで知られる。
- 中和地域において、靴下(広陵町)や野球のグローブなどスポーツ用品の生産も高いシェアを得ている。
- 奈良県は古代遺跡を多く有しているため、遺跡発掘が盛んである。
歴史
古墳時代から奈良時代まで
紀元3世紀から4世紀頃に、この地方の豪族が力を強めて周辺地域に覇を唱えた。その後長い年月と代替わりを経て、他地域との交流・攻防や大陸との交流の末、現在の日本地域の大半を支配する大勢力となった。これがヤマト王権と呼ばれる。
ヤマト王権は、現在の天皇家の祖であるとされ、宮内庁比定の天皇陵などが集まっている。また、邪馬台国と同一視する説、北九州にあった邪馬台国の子孫が移住して新たに建国した国であるという説、神武天皇の東遷説などがある。
古代からの神道信仰の伝統、及び6世紀の仏教伝来以来の国策により、この地域には神社仏閣が多数存在する。
ヤマト王権成立以来8世紀末まで、この地域に大和朝廷の累代の天皇の宮があり、都が置かれた。大和時代から飛鳥時代にかけては、橿原市や高市郡に宮が置かれていることが多かった(飛鳥京跡)。特に藤原京は、690年(持統4)に着工され、694年に完成した日本史上最初の条坊制(じょうぼうせい)による中国風都城として知られる。その後、710年に平城京遷都が行われた。784年に長岡京に遷都されてからは、日本の首都が県内に置かれることはなくなった。
平城京から長岡京への遷都の一因ともなった影響力を持った寺社勢力は、遷都後もそれらはこの地域に残り、その後地域の耕作者を支配下において大きな勢力となった。
平安時代から室町時代まで
- 平安時代後期は、清和源氏の源満仲の次男の源頼親(兄・源頼光/摂津源氏。弟・源頼信/河内源氏)の大和源氏の本拠地となる。
- 中近世の大きな歴史的事件には登場しない。
ただし温暖で肥沃な盆地を抱える地域であるため、この地域の豪族はいずれも大きな力を持った。 - 一方で南部の険峻な山地には、その地の利を活かして反中央勢力(中でも反主流派の皇族)が居を定め、中央政府(京都の朝廷、及び幕府)とにらみ合う時代が長く続いた。南北朝時代の後醍醐天皇の吉野朝廷が有名である。吉野朝廷は地の利を生かしながら、また各地の武家勢力を糾合しながら60年にわたって抵抗し続けたが北朝に降った。しかしその後も活動を止めず、応仁の乱では山名持豊の推戴も受けた。
- 奈良時代に建立された藤原氏氏寺の興福寺・東大寺など南都寺院が大きな勢力を誇った。このため、鎌倉・室町の武家政権は大和に定まった守護を置けなかった。平氏が東大寺焼討ちなどを行って南都を制圧しようと試みたが、うまくいかなかった。
戦国時代から江戸時代まで
- 戦国時代には筒井・古市・越智などが北大和地域に割拠し争ったが強力な支配勢力となりえず、細川氏や畠山氏・三好氏の後援を受けた赤沢朝経や木沢長政・松永久秀といった他国勢力の支配を受けた。16世紀末に筒井党の筒井順慶が織田信長の力を背景に大和を概ね制する。続く豊臣秀吉の時代、順慶亡き後筒井氏は伊賀国に転出し、代わって郡山(現在の大和郡山市)の城に大納言豊臣秀長が拠を構え、地域の再編と産業奨励に乗り出し大和は安定した。
- 江戸時代は奈良(奈良奉行)と五條(五條代官)を幕府が直轄支配し、郡山藩が15万石で最大石高で、高取藩、小泉藩、柳生藩、柳本藩、芝村藩、櫛羅藩、の中小藩が成立した。また、交代寄合の平野家の田原本陣屋があった。
- このうち大和南部の広大な山域は五條代官所管轄の天領(幕府直轄地)となった。実質はあまりに広域のため十津川村の十津川郷士などをはじめ各地域(郷村)による自治を行った。また、あまり知られていないことであるが、五條代官の支配地・管轄はかなり広域で現在の和歌山県の一部も含んでいた。
明治維新以後
明治初期には、一度奈良府が設置されるも、版籍奉還や廃藩置県・府県統合により、堺県に合併されたり、堺県を含む大阪府に合併されて「大阪府の大和地域」にされるなどした。しかし、1887年には大阪府より分割され、奈良県が再設置された。かつて首都の置かれた地域は「県」ではなく「府」とされたため、奈良県でも、東京府、京都府、大阪府と並ぶ「奈良府」への改称運動が起こったが実現せず、存在感が薄かった。
しかし、1892年には湊町(JR難波駅)~奈良間の開業で、大阪と奈良が、1896年に、奈良鉄道が木津~奈良間を開業により京都と奈良が結ばれたことで、寺社仏閣の多い奈良県が観光地として栄えていくこととなる。さらに、1914年4月、大阪電気軌道(近畿日本鉄道の前身)が、大阪の上本町駅~奈良駅間30.8km(現・近鉄奈良線)開業をさせ、より大阪と奈良の交通アクセスが良くなったことで、多くの観光客が訪れることとなる。特に1940年の紀元2600年祭には、神武天皇とゆかりの深い橿原神宮に多くの参拝者が訪れた。
現在の近鉄奈良線に当たる鉄道の開業により、昭和初期の頃には奈良市の学園前周辺が高級住宅地として開発が進んだことで、大阪のベッドタウンとしての発展の礎が築かれた。戦後、高度経済成長期には近鉄奈良線沿線や近鉄大阪線沿線、近鉄南大阪線沿線では住宅地開発が進み、奈良盆地全域で急激な都市化が進行した。昭和末期から平成初期には、バブル経済により大阪都心部の地価上昇の影響を受け、県内でも地価上昇が進んだ結果、奈良盆地以外の宇陀市や大淀町、五條市でも住宅地開発が見られるようになり、県内の人口は増加していき、ドーナツ化現象の影響を大きく受けた。現在では、都心回帰に影響もあって、人口は横ばいとなっているが、生駒市や香芝市など大阪から近いエリアでは開発が進んでいる。そのため、県外就業率が29.98%で、埼玉県(2位)や千葉県(3位)よりも高く、日本一高く(2005年国勢調査)、昼夜間の人口差が大きい。
また1987年には、関西文化学術研究都市の発足に伴い、生駒市・奈良市では対象地域に含まれるようになる。平城相楽ニュータウンの開発や、奈良先端科学技術大学院大学の設置や平城宮跡の復元など学術研究の分野でも、発展することとなった。さらに、東大寺学園や西大和学園など国内でも有数の難関私立進学校があるなど、文京地域としても知られるようになった。他に、1000世帯あたりのピアノの所有台数が日本一多い(1999年、359台)という統計などから、教養や教育に力を注いでいる家庭が多いのも奈良県の特徴である。
観光地としての面でも、1993年に法隆寺地域の仏教建造物が、1998年には古都奈良の文化財が、2004年には紀伊山地の霊場と参詣道が、ユネスコの世界文化遺産に指定され、今日では、古都と言えば京都と奈良と言われる程知名度が高く、世界的に有名な日本の観光都市として栄えている。現在、県内4カ所目の世界遺産登録に向け、明日香村が活動を行っている。
さらに、2010年には平城京に遷都されてから1300年目にあたり、平城遷都1300年記念事業を成功させるべく、2005年5月に平城遷都1300年記念事業協会が設立され、準備が進められている。
地域
- 現在、奈良県には12市7郡15町12村の自治体がある。町の読み方はすべて「ちょう」。
奈良県下の市町村一覧
北部
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南部
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都市圏
奈良県では、多くの自治体が大阪都市圏に含まれている。下記の表は、県内の雇用都市圏を表したものである。また、大阪都市圏の各自治体のほか、五條都市圏や吉野郡の一部も京阪神大都市圏に含まれる。
| 自治体 ('80) |
1980年 | 1990年 | 1995年 | 2000年 | 自治体 (現在) |
|---|---|---|---|---|---|
| 山添村 | 上野都市圏 | 上野都市圏 | 上野都市圏 | 上野都市圏 | 山添村 |
| 月ヶ瀬村 | 奈良市 | ||||
| 都祁村 | 天理都市圏 | - | 大阪都市圏 1200万7663人 |
大阪都市圏 1211万6540人 |
|
| 奈良市 | 大阪都市圏 1117万0018人 |
大阪都市圏 1184万2283人 |
|||
| 大和高田市 | 大和高田市 | ||||
| 大和郡山市 | 大和郡山市 | ||||
| 天理市 | 天理都市圏 | 天理市 | |||
| 橿原市 | 大阪都市圏 1117万0018人 |
橿原市 | |||
| 桜井市 | 桜井市 | ||||
| 御所市 | 御所市 | ||||
| 生駒市 | 生駒市 | ||||
| 香芝町 | 香芝市 | ||||
| 新庄町 | 葛城市 | ||||
| 當麻町 | |||||
| 平群町 | 平群町 | ||||
| 三郷町 | 三郷町 | ||||
| 斑鳩町 | 斑鳩町 | ||||
| 安堵町 | 安堵町 | ||||
| 川西町 | 川西町 | ||||
| 三宅町 | 三宅町 | ||||
| 田原本町 | 田原本町 | ||||
| 高取町 | 高取町 | ||||
| 明日香村 | 明日香村 | ||||
| 上牧町 | 上牧町 | ||||
| 王寺町 | 王寺町 | ||||
| 広陵町 | 広陵町 | ||||
| 河合町 | 河合町 | ||||
| 榛原町 | 宇陀市 | ||||
| 室生村 | |||||
| 菟田野町 | - | - | - | - | |
| 大宇陀町 | - | - | - | - | |
| 曽爾村 | - | - | 大阪都市圏 1200万7663人 |
大阪都市圏 1211万6540人 |
曽爾村 |
| 御杖村 | - | - | 御杖村 | ||
| 五條市 | 五條都市圏 | 五條都市圏 | 五條都市圏 | 五條都市圏 | 五條市 |
| 西吉野村 | |||||
| 大塔村 | - | - | - | - |